※ちょっとお下品です












勤務帰り、突然鳴った通知音。ライブキャスターには見慣れた名前が映っていた。

「なんでしょう」
「甘いモノが食べたいです。ケーキとかクッキーとか何でもいいので買ってきてください」
「…斯様な深夜に菓子店が開いているとお思いですか」
「食べたいです」
「我が儘を仰らないでくださいまし」
「やだ、食べたい!」

駄々をこねるも可愛らしいのですが、今日は少々強情です。そんなに頭を振って、また頭が痛いと仰るのですから、それ程にして頂きたい。ああ、髪が乱れてしまっているではありませんか。綺麗な黒髪が台無しです。抑、癖っ毛で髪が乱れやすいと仰ったのは何処の何方でしたか。

「頭痛薬なら、引き出しの二番目に入っていますよ」
「頭痛くないもん」
「いえ、そうではなく」
「じゃあ何ですか」
「……痛むのかと思いまして」
「…は?」
「……」
「何がです」
「…昨日の日付、カレンダーに小さくタブンネが描かれていたので」
「さいってい!!」

ぷつっと切れた画面。食い気味に、顔を真っ赤にされて仰られたので、恐らく合っていたのだと解釈。月に一度、同じような周期でカレンダーにタブンネが居れば、気付かざるをえないと思うのですが。
手に持った紙袋を見やる。大人気なく意地になって話さなかった、鉄道員に貰った高級そうなカステラが天からの贈り物だったとさえ思えてならない。ケーキでもクッキーでもないけれど、これで彼女が機嫌を直してくれたら良い。私は足を早めた。





(今月はタブンネ、随分と遅いですね)
(…うるさいです………ノボリさん、)
(何でございましょう)
(そのこと、なんですけど…)