「やだやだやだやだ!こないで!ください!」

涙目になりながら逃げていく女の子、名前は。綺麗に靡く髪が、遠ざかっていく。挨拶は、できる。気をつけ一個分、それ以上近付こうとすると、は一目散に逃げていく。話そうとすれば警戒されるし、触れようとすれば逃げられる。よろしくない。それじゃ困る。ぼくはがすきなのに、逃げられては何もできない。

「…!なんで追いかけて来るんです!」
「今日こそきみと話す!だから止まって!」
「いやです!こないで!」

全速力で走れば難なく追いつけるだろうけど、それはしない。が降参するか、諦めるか。今日は徹底的に、ゆっくり追い詰める。ギアステーションをぐるぐるしたり、ホームを走り回るのはあまり好ましくないけど、との鬼ごっこだ、仕方ない。
そのうち、が疲れたのか、諦めたように壁に背中を預ける。近づいて、逃げられないように片手だけの横に置いた。、背、ちっちゃいなぁ。の大きな目が潤んで、顔は赤くなって、息が乱れている。そんなになるまでにげなくたっていいのに。

「どうして逃げるの」
「そんなの、わ、わたしの勝手じゃないですか」
「困る。ぼく、きみと話したい」
「ど、して」
「ぼく、きみがすきだから、話して、仲良くならないと、すきになってもらえない」

目をまんまるくして、が固まった。まつげが涙を湛えてきらきら光ってる。元から赤い顔をもっと真っ赤に染めて、何か言おうと口をぱくぱくしてる。琥珀玉みたいな、綺麗な眼。友達に向いてるときはちゃんと笑うくせして、ぼくのときだけ目もみようとしない。

「どうして逃げるの、ぼくが嫌い?」
「………だって」
「だって?」
「だって!クダリさんが近づいてくると、顔が急に熱くなって、心臓がどくどくいって、恥ずかしくて、ぎゅーってして、た、大変なんですから!」

…それって、脈アリ?