最近チェレンとトウヤの様子が変だ。チェレンと話してるとトウヤがやってきて話に加わるかと思えば皮肉を言い合って、トウヤと話してるとチェレンがやってきて話をするやいなや二人は漫画のようにそっぽを向く。仲のいい幼なじみだと思ってたのは私だけだったのかな。いや、喧嘩する程仲がいいともいうし、これは寧ろ仲がいいってことなのかな?わかんない!二人が何で喧嘩してるのかもわかんないし、原因が解ればもちろん幼なじみとしてなにかしら協力してあげたいけど、そもそもこれは喧嘩なのかもわからない。嫌味を言い合ったりするのはこれ喧嘩だよね?うーん……でも顔を合わせた時の二人の雰囲気からして良くないことだっていうのだけはわかる。これ、幼なじみの勘!

「あれ、チェレンとトウヤ?」

ヒウンの広場で二人を発見した。また何か言い合ってるみたい。私には気付いてない。私の前で皮肉を言い合ってる時とは違って、喧嘩らしい喧嘩をしている。ちらほら見える人が皆二人を見てなにあれって顔をしていく。何でそんなに言い争っているのかちょっぴり聞いちゃおう。私は自販機の陰で二人の話を聞くことにした。うん、二人の仲改善のため、これは悪いことじゃない。

「……ら…………って!」
「…なわけ…!」

うーん、よく聞こえないな?でもやっぱりいい雰囲気ではない。耳を澄ませてみるけど、人の足音が混じって二人の声がかき消されてしまう。もう、ちょっとだけ、近づいてみる。

「…違いも…!は」

がしゃん!


二人が私に気付いた。それもそのはず、私が近くのごみ箱を倒しちゃったから。幸い中のゴミが散らかることもなかった。動揺したままごみ箱を直してびっくりする二人に躓いちゃったーあはは小指が痛いと笑ってみる。失敗した、ウケてない上靴履いてるからあれくらいの衝撃で痛い訳ない。でも一瞬、私の名前が聞こえなかった?

…もしかして、話、聞いてた?」
「……ご、ごめん」
「っ!マジで」
「ごめん私、どうしても、二人がなんで喧嘩してるのか知りたくて」

「…………「なんで」?」
「…ああ、なんで喧嘩…」
「え?喧嘩…あ、私の名前言ってなかった?私なにか悪いことした?」

しーん、チェレンとトウヤはお互い見つめ合って苦笑している。なに?私もしかしてもしかしなくてもおいてけぼりですか?最初は死ぬほど苦い顔してたのに、二人のこの顔はやった!ってときの顔!そして二人同時に「良かった、聞かれてない!」。ちょ、腹立つ!私の心配返せよ!ふくつのこころ?なにそれ食えるの?もう何?なによ説明してよ10字以内で丁寧かつ簡潔に!


「いやあれは、僕達喧嘩してたわけじゃ…」
「まああながち間違ってはないけどな?」
「説明してよ!喧嘩してた訳じゃなくてあながち間違ってないってどういうこと!」
「だから…えっと…どうするトウヤ…」
「俺に振るなよチェレン…」

二人は仲良く固まってしまった。せーのでいくか?という明らかに私に聞かれてはいけない台詞を普通のトーンで話すトウヤにチェレンは突っ込まないままでもさと反論する。ツッコミコラ、職務放棄ダメゼッタイ。メガネはツッコミって決まってんだから!そんなことも気にせず二人してあーだこーだとちっちゃい言い争いをはじめる。とりあえずこの場ははぐらかすべきだとかもうそれやめてよなんか惨めになっちゃうわよ…

「あれぇー?なにしてるの三人ともー」
「あ、ベル」
「「げ」」

みんなそろって珍しいねとベルはわらう。失礼なことにチェレンもトウヤも嫌そうな顔をする。ベルは一瞬私たちを見渡してから、ああーとすべて解ったように納得した表情を浮かべた。なにこの人エスパー?チェレンとトウヤはばつのわるそうな顔をした。あ、なんか思いついたな、ベルがにたぁっと笑った。直ぐにぱっと私に顔を向けていつものように笑った。

「あのね、二人は気にしなくて大丈夫」

ベルの言葉にほっとした表情を浮かべる二人。いや、表情は変わってないけど、なんか場の空気が変わった。ベルは落ち着いたまま続ける。また場の空気が変わる。

「折角二人仲良く言い争ってるんだからあたし達はお邪魔虫だよ」
「「はあっ!?」」
「えっ…そうなの?」
「そうなの」
「バカ、ベル!そんな訳」
「そもそも僕達はが…!」
「べ、ベル、トウヤとチェレンが」
「あは、面白いジョークだね〜」
「…………じゃあ、そっ、か?わたしおじゃまむし?だったの?え?」
「「ベル!」」
「だからはあたしと一緒にロイヤルイッシュ号乗ろうね」
「ふざけんなベル!と船旅デートだと!」
「ベル、まさか君まで…」
「夜景見てー勝負してー…あ、帰りにヒウンアイス食べよう?」
「う、うん!」
「「!!」」


二人の喧嘩騒動は私の勘違いだったみたい。今日だけで二人して5回もハモってるんだから仲良しなことこの上ないよね、心配して大損した!


強敵、現る

(あの二人とは絶対釣り合わない。はあたしのものだもん。もちろん初デートもあたしのもの)
(の性格解っててやりやがったなあの野郎…ヒウンアイスで釣ってんな!)
(完全な計算ミスだ…この確信犯を計算に入れておくべきだった…)
(ねえベル、今度一緒に観覧車乗らない?Nと一緒に乗ったきり乗れてなくて)
(((なっ、遊園地デートだと!N貴様ァァァ!!)))